スポーツクラブに学ぶ会員制度


NPOにとっての会費収入は、使途が自由であること、安定した収入源となることから重要な資金源ですが、新規会員拡大や継続率を高めることは容易ではありません。どうしたら「会員をやめたくなくなる」のか・・・そのヒントを会員制スポーツクラブの運営から学びました。

今回、ヒントを得たのは、全国のスポーツクラブ、スイミングスクール運営をサポートしている株式会社スポーツ・ザ・ディアのサイトです。
http://www.sports-the-dear.jp/club/index.html

この会社は、サイト上で「中高年が喜ぶプログラム」や「子どもプログラムの考え方」など、たくさんのコンテンツを提供しています。その中に、「入会したら辞めたくなくなる倶楽部」というページがあり、ここにNPOの会員継続にも通じるたくさんのヒントがありました。

まず、スポーツクラブを退会する理由(または入会しない理由)として下記があげられています。(以下、部分引用させていただきます。)

1.世界一の健康保健制度に甘えてしまって、健康への危機感がない。
2.スポーツや運動に対する価値観は疲れるもので厳しい訓練が必要で、自主的能動的行為ではないと思っている。
3.運動の効果は3ヶ月後であり、そこまで待てない。
4.おもしろくない。

このいずれもがNPOの会員にならない、継続しない、さらには寄付をしないことの理由にも通じています。

「1.危機感がない」は、不自由のない安全で安心な日常生活の中で、社会の様々な課題を「他人事」と感じてしまっているのと同じではないでしょうか。実は、NPOが取り組んでいる社会の課題は、環境であれ、人権であれ、福祉であれ、平和であれ、それらはちょっとしたことで自分にとって重大な意味を持ってくるのですが、いざそうならないと「自分ごと」には思えないというのが実際です。「自分ごと」と思ってもらえるような共感力のあるメッセージを発信しないとなりません。

「2」については、まさに日本のフィランソロピー教育が、ともすれば「奉仕の時間」というような「やらされている感」の大きいものになってしまうことから、寄付やボランティアにポジティブなイメージを持てなくなったしまっているのと相通じます。自分の価値観で選んで、自発的に、社会貢献がステキなことだと思ってもらえるような教育が必要だと思います。

「3.成果が待てない」も、自分の望んだ社会の課題解決がいっこうに進んでいないような落胆から退会してしまうのと似ています。一度に全てが解決するなどということを期待してはいなくても、団体の活動がもたらした「誰かの笑顔」をみたいという気持ちには応えていくべきではないでしょうか。

「4.おもしろくない」というのも、「社会を変える仲間になろうと、はりきってNPOの会員になったのに、何のわくわく感も得られない・・」などというケースと同じでしょう。こちらも、感謝や報告に工夫が必要となります。

そして、このスポーツクラブの運営についての情報サイトでは、「退会しない理由」というのもあげています。

1.そのクラブには「仲間」がいるから。
2.自宅や職場の近くにあり通いやすいから。
3.スタッフやプログラムが自分に合っているから。

ファンドレイジングでは、会員制度の3つのポイントとして「共感」「特典」「仲間感」が重要だとされていますが、まさに上の項目と重なります。会員やスタッフとの「社会を変えていく仲間」という感覚、自分にとって都合のいいコト(特典)があること、「自分に合っている=共感できる」ということが会員継続につながります。

さらに、退会させないためのポイントとして、以下の5項目があげられています。

ID-1001530021.3ヶ月でフィットネスクラブのライフサイクルをつくりあげてしまうこと。
2.スタッフの役割は会員同士の友好関係を支援すること。
3. 会員として自立出来るまでは手を掛け、声を掛け、楽しめる環境を整備してあげる。
4. トレーニング自体の楽しさを知らせ、継続的にトレーニングすることによって得られる効果のイメージをつかませて上げる。
5. 自分のクラブだと認識できる様に支援して上げる。

会員としてのライフサイクル・・・NPOの場合なら、会報などで定期的な報告を受けたり、折々感謝されたり、毎年のイベント参加とかで、会員であることが「日常」と感じられて、「年中行事」となることが重要だと思います。また、会員制度の中に自分の人生の節目(結婚、昇進、退職、相続など)ごとに関係性を深めたり進化させるような仕組みが盛り込まれて、きちんと示されていることも必要でしょう。

そして、スタッフは会員同士の交流の場を、集会やSNSなども活用しながら設けて、長年の会員がどういうハッピーな気持ちでいるのかを知る機会も用意したいものです。支援者コミュニケーションのなかで、「社会を変える仲間の一員」という意識を持ってもらえるようになれば、「自分の団体」という気持ちになり、会員継続もしてもらえます。

あと、もうひとつ。スポーツクラブの会費は自動引き落としがほとんどです。最近はカルチャースクールなどの月謝も「毎月銀行振込に行く」というのは減ってきています。NPOも会費をオンライン決済で納めるのが当たり前になる時代が来ると思われます。マンスリーの導入で自動継続が可能になれば継続率も上がりますので、先々の導入を検討してみて下さい。

「3分間ファンドレイジング講座」の下記もご参照ください。
オンライン決済システムの導入
会員継続率を高めるためにやるべき3つのこと

スポーツクラブに限らず、NPOは他のセクターの「工夫」から、色々と学ぶことがあるようです。