5つのタイプの寄付者(アメリカの調査結果から)


米国で出された寄付者に対する調査レポートでとても興味深い分析結果が出ていたのでご紹介します。特に面白いと思ったのは、寄付者を5つのタイプに分類したこと。ファンドレイジングに際しては、このタイプ別のアプローチが求められてくるので参考になると思います。そして、10の質問で「どのタイプか」を割り出すツールも公開されているので、そちらもご紹介します。

このレポートは「Money for Good ($4G) 2015」というもので、2009年から毎年、「Camber Collective」という米国のNPOを対象にしたコンサルタント会社が出しているものです。目的は「寄付者の声を明らかにすること」。3,000人へのオンライン調査と50人への面接調査の結果から、「寄付者の声」を分析しています。今年は8月にレポートが公開されました。

余談になりますが、このレポートにはインフォグラフィックスが多用されていて、とてもわかりやすいことから、ファンドレイジング・ラボでご紹介したいとお願いしたところ、レポート内全てのインフォグラフィックスなど画像の転載の許諾をいただきました。(Josh Drakeさん、ありがとうございました!)

このレポートでは、調査結果を踏まえて寄付者(潜在的な寄付者も含めて)を5つのタイプに分類しています。

1)Contented Benefactors(20%)
寄付が生活の一部に定着していて、寄付することに満足している人
2)Busy Idealists(15%)
時間とお金の余裕があれば、もっとたくさん寄付をしたいと思っていて、まだ十分にできていないと思っている人
3)Cautious Strivers(14%)
人のためになりたいと思っているけど、まだ、自分がそういう立場に至っているのかどうか迷っている人
4)Unaware Potentials(28%)
寄付を否定はしないけど、自分にとってそれほど大事なことだと思っていないと考えてしまっている人
5)Unengaged Critics(23%)
お金があっても、寄付をしたいとは思わない人

chart

そして、この2)、3)、4)(ピンク色の部分)の人たちに適切なアプローチをすることで、米国の寄付市場が拡大し、個々の団体への寄付が増やせるとしています。レポートの中では、この5つのタイプの人たちについてその行動や考えていること、何が寄付についてのハードルになっているのかを具体的に分析しています。

では、この5つのタイプに自団体の支援者(既存の寄付者とメルマガ登録やイベント参加で何らかのかたちで団体と関わりを持っている潜在的な寄付者)を分類するにはどうしたらいいのか。そのツールも公開されています。
http://www.cambercollective.com/moneyforgood

このツールでは10の質問に答えると「この人はどのタイプ」かがわかるというものです。支援者一人一人について団体内で「推測」して答えをいれていくという想定と、実際に個人にアンケートするやり方に対応したプログラム(エクセルのマクロでつくられています)がありますが、なかなか団体が支援者に「寄付についての意識調査」ってやりづらいだろうとも思うので、「推測」して、寄付を募る際に、タイプ別にその人たちに応じたメッセージを届けるということになるのだと思います。

その他、このレポートで私が興味深いと思った調査結果を3つあげます。

1.寄付者の関心事をたずねた結果が下記です。下図をみると、49%の寄付者が自分のお金の使われ方を気にしていて、34%が頻繁に来る寄付依頼にうんざりしていて、20%が寄付先の活動が誰にためになっているのか確信できないと答えたそうです。1−1

2.75%の寄付者が「自分は平均以上の寄付をしている」とかんがえているものの、実際には72%の寄付者は平均以下の金額を寄付しているのだそうです。

2−1富裕層の大口寄付が平均値を上げているという実態もあるのでしょうが、けっこう「もう十分」という気持ちになっている人が多いのでしょう。レポートでは、米国の個人寄付が70年代からずっと可処分所得の2%前後で推移していて成長が見られないという結果もありましたが、こういう寄付者の意識も、その理由の一つかもしれません。2−2

3.いったん寄付すると、おなじところに繰り返し寄付する傾向があるそうです。67%の寄付者が毎年同じところに寄付をすると答え、次の年には別の団体に寄付するつもりだと答えた人は13%だけだそうです。また、寄付する前に他の団体との比較をするひとは9%だけ。寄付先やその成果を調べている人は30%台に留まっています。

3−1

この「Money for Good ($4G)2015」の全文は下記からダウンロードできます。
http://www.cambercollective.com/moneyforgood