寄付集め7つのステップ「Step 5 ファンドレイジング計画の策定」

いよいよ寄付集めの実施に備えた計画を立ててみましょう。この場合の計画とは、ファンドレイジングの「実施計画(スケジュール)」をつくるということに加えて、「目標額の設定」も重要な決定次項です。つまり、「xx円獲得するための計画を考えること」だということです。Step5では、その計画策定について、目標額の設定と年間計画の策定について考えてみます。

1.目標額の設定

ファンドレイジングをする場合の「目標額の設定」と言うと、「捕らぬ狸の皮算用」のように思われる方もおられるでしょう。でも、組織を運営では、収支計画を立てないということはあり得ませんし、その収入の中で、どれだけを寄付によって集めるかということを考えなくてはなりません。寄付集めにも人件費、ツールの作成費、通信費などのコストがかかります。獲得する目標額を定めて適切な支出も決める必要があります。

では、その目標額はどのように設定したらいいのでしょう。

まず、前の年の寄付収入について分析をします。ここでは、Step2の寄付者分析で作成したドナーレンジチャートを活用しましょう。<表1>はその一例です。

02チャート1

次に<表1>をもとに新年度の目標を立てます。<表2>は、新年度は
約10%の増額を目標として<表1>を改訂したものです。

05チャート2

前年度5千円未満の寄付者が、仮に一口寄付千円が300件集まったことで合計30万円だったなら、この金額帯を10%増の33万円にするには、単純に考えると「千円の寄付を30件増やす」ことが必要になります。

その場合「新しく30人にお願いしたら全員がすぐに寄付してくれた!」などとうまくいくことは滅多にありません。前年度はどういう人たち何人くらいにどんな方法でお願いしたのかを確認して、最低でもその総数の1割アップの対象に働きかけをしないとなりません。そのリスト作成の作業も計画立案時に終えておくと、いざ実行する際にあわてないで済みます。

ところで、寄付集めにはコストがかかりますが、そのコストはどの位を目安にしたらいいのでしょう。実はアメリカには「1ドル集めるのにいくらかかったか?」という調査結果があって、大口寄付だと$0.05 から$0.10、既存の寄付者への再依頼ダイレクトメールだと$0.20、イベント寄付だと$0.50で、新規寄付を募るダイレクトメールだと$1.00から$1.25(赤字ですね!)という結果になっていました。赤字でもダイレクトメールを出すのは、いったん寄付者になってもらえたら、その後は 「既存の寄付者」となってコストが下がることが見込まれるからです。そして全体平均では1ドル集めるのに20セントかかっているそうです。つまりファンドレイジングコストは平均2割となります。この数字はひとつの目安になるかもしれません。

いずれにせよ、人件費や印刷費や発送費、あるいはイベント開催など、ファンドレイジングにはコストがかかりますので、きちんとした予算立てが必要です。

2.年間計画の策定

目標額が定まったら、いよいよ年間計画を立てることになります。計画策定のポイントは、必ず、年度初めに実施するものを盛り込むこと。いい計画を立てたと思っていても、やってみたら「なかなか思いどおりにならない」というのもよくある現実です。そんな場合も、年度の初めの方にいくつかの計画を盛り込んでおいて、そこで検証を重ねられるようにしておけば「手遅れ」にならずにすみます。

そして、もしうまくいかないと思われた場合には、素早く計画の修正、「次の一手」を打たないとなりません。そう考えると、計画を策定する次点で、「もしうまくいかなかった場合の代替案」を考えておく必要もあると思います。

日本ファンドレイジング協会「認定ファンドレイザー必修研修テキスト」より

日本ファンドレイジング協会「認定ファンドレイザー必修研修テキスト」より