「寄付白書」の活用〜ファンドレイザーにとって〜


日本ファンドレイジング協会から、今年の秋に、5冊目となる「寄付白書2015」が発行されます。(詳しくは http://jfra.jp/news/8912)

カバー「日本人が、どこに、いくらくらい、どんな気持ちで、どのような方法で寄付をしているか」等を明らかにしている寄付白書。これまでの4冊の寄付白書(寄付白書2010~寄付白書2013)が出版されています。

そこで、新刊の発売を前に、「寄付白書2013」を再読しながら、ファンドレイジングにこの「寄付白書」をどう活かしたらいいのか・・5つの活用法を考えてみました。

1.寄付者志向のファンドレイジングのために

「寄付白書」では、寄付者が寄付をする際に重要視すること、寄付のきっかけ、寄付の方法などについての調査結果が掲載されています。これらは寄付者志向のファンドレイジングに欠かせないものです。

例えば、「寄付をする際に重要視すること」の上位2つが「活動の趣旨に共感・賛同できること」と「寄付の使途が明らかで有効に使ってもらえること」という結果は予想通りかもしれませんが、第3位に重要視されていることが「寄付の仕方がわかりやすく簡便なこと」だそうで、これは「信用のある役員・スタッフがいること」や「団体の知名度」よりも上位にきています。ちょっと意外に思えるかもしれません。この結果から、サイト上で寄付の方法がすぐわかるようになっているか、手軽に寄付ができるオンライン決済も用意しないと・・など改善のヒントが得られます。

他にも、高額寄付者と平均的寄付者の意識の違い、年齢別の新しい寄付手法への認知度の違いなどのデータは、ターゲット別の働きかけの際に参考になるものです。

2.寄付に関連する社会の動きを知るために

「寄付白書」には寄付に関連する制度、寄付集めの新しい手法、企業のNPO支援方法の変化などがレポートされていて、いわば、寄付のトレンドを把握することができます。

税制や寄付を促進する施策に加えて、休眠預金の活用、ふるさと納税、市民ファンドなどの新しい動向をふまえてファンドレイジング戦略を立てる必要はもちろん、支援者に尋ねられた際に「知りません」ではファンドレイザーとしての信頼性が揺らぎかねません。

3.ファンドレイザーとしての専門性を高めるために

寄付のお願いに回った時に、「ご苦労様です。いや〜寄付って何かなじみが無くて、そもそも日本人って欧米人みたいに寄付とかしないでしょう・・」みたいなリアクションが返ってくることがあります。そんな時、返す言葉を失って、そのまま話も弾まず退出したというような経験、ありませんか?

こういう場面で、「確かに、日本の寄付市場は7千億円だとされていて、アメリカは日本の約25倍の個人の寄付があるそうです。ただ、この数値も年々増えてきていますし、何よりも日本人の7割の人が社会に貢献したいと思っているという調査結果もあるので、私は、そういう方々にウチの活動をきちんと伝えて寄付という形でご支援いただこうとがんばっています!」みたいなこと、さらっと、あるいは熱く語ってみたらどうでしょう。

他にも、寄付白書の数字には「小ネタ」になるようなデータが沢山あります。そういうものを話題にすることは、ファンドレイザーとしての専門性を相手に印象づけ、「そういう人の話なら聞いてもいいか・・」という展開になるでしょう。

4.ボランティアに関する理解を深めるために

「寄付白書」にはボランティア活動の動向についての調査結果も盛り込まれています。社会貢献の両輪は寄付とボランティア。時間、分野、動機など全体像の概観に加えて寄付との相互関係などもレポートされています。団体の支援者をトータルに理解する上で、このボランティアについての調査結果が活かせます。

5.寄付市場拡大の担い手としての意識のために

団体の活動資金を集めることに一生懸命だと、もう、正直な気持ち、日本の個人寄付の推計総額が年間で7千億円だろうとなんだろうと、どうでもいい気持ちになったりします。しかし、個々の団体のファンドレイジングを伸ばすには、寄付市場全体が拡大する必要があります。「パイの奪い合い」では市場全体が疲弊してしまいます。ファンドレイザーは自団体の資金調達に励むと同時に、その結果が日本の寄付文化の醸成に資するものだと意識している人たちです。その成果を確認する意味でも、その意識を忘れないためにも、「寄付白書」はファンドレイザー必読書の一つだと思います。