多くのNPOでファンドレイジングを担うのは、事務局長をはじめとする事務局スタッフですが、限られた人数でがんばるNPOだからこそ、理事やボランティアにファンドレイジングに協力してもらいたいものです。「参加の力」は素晴らしい成果を上げたりもします。Step3では、そのために必要なポイントを考えてみましょう。
1.理事会メンバーの構成バランス
理事は、地域の有力者であったり、有識者が就任する場合が多く、そういう人たちが団体のファンドレイジングに対して積極的に関わってくれると各方面への働きかけがスムーズにできます。
一般的に、団体の創設時には思いと志をひとつにした「似たようなタイプの人たち」が理事に就任することが多いものです。ただ、ファンドレイジングに関しては、様々な立場の人が理事となっていることが、それぞれの理事の人脈や能力の発揮につながります。
そこで、理事会メンバーの構成がバランスのとれたものかどうかをチェックしてみて下さい。年齢、性別、所属セクター、専門性(団体活動について)など、どんな属性の人たちがいるのでしょうか。
仮に、「全員が70歳以上」というような年齢バランスの悪い理事会であったら、若い世代に対するアプローチが難しいかもしれません。活動分野に関する専門性の高い学識経験者ばかりの理事会だとしたら、地域の経済界との接点が持ちにくいかもしれません。
また、「属性」と呼ぶのが相応しいのかはわかりませんが、「時間的余裕」というのも大事なポイントかと思います。どんなに頼もしい理事でも、多忙であったら積極的に関わってもらえません。NPOの場合、とかく同分野の団体の理事長や事務局長クラスの人たちが相互に理事に就任していたりしますが、自団体を背負っている多忙な人ばかりでは、理事にファンドレイジングに協力してもらうのには無理があります。
そうは言っても、「じゃあ、すぐに入れ替えましょう!」というのは現実的に無理な話です。ただ、団体も月日が経つと成長とともに理事の人数を増やすという段階がきますし、退任する理事も出てきます。そういう時に、足りないタイプの人に就任してもらうといいでしょう。退任を希望される理事は、迷惑をかけるといけないからと後任を見つけてきてくれたりします。ただ、そのような場合、とかく「自分と似た人」を見つけてくれがちです。事務局だけではなく、理事会でも、メンバー構成を日頃から意識して、機会があるごとに徐々にバランスの良い理事会構成の実現を図っていけたらと思います。
理事には、寄付者を紹介してもらう、寄付依頼の訪問をしてもらう、お礼の電話かけなど、ファンドレイジングに協力してもらえる場面がたくさんあります。そのためには、やる気をもって理事に就任してもらうこと、事務局と良好なコミュニケーションを保ちながら連携して行動してもらうことが不可欠なのは言うまでもありません。
2.ボランティア=支援者=寄付者
ボランティアは、団体のミッションや活動内容に共感し、時間と労力を提供して活動に参加してくれる強力な支援者です。手間のかかりがちなファンドレイジングの業務、例えば、データ入力や発送作業やイベント運営等にも協力してもらえる頼もしい存在です。
また、寄付依頼パンフレットやウェブ上の表記、送金方法などについて、ボランティアの人たちに「モニター」になってもらうのもいいでしょう。ボランティアの人が理解できないような内容では、おそらく外部の人の理解を得られません。
さらに、ボランティアが寄付者となる、あるいは寄付者を募ってくれるといったことも期待できます。実際、下記のデータのように、ボランティアと寄付には相関関係があります。ボランティアをする人は寄付もしているのです。「社会貢献意欲のある人」ということで考えると納得のいくデータです。
ボランティアに寄付までお願いするのは申し訳ない…という気がしがちですが、「応援したい」という気持ちは、寄付という形をとることもあるのです。もちろん、ボランティアに対して、一般向けの寄付募集のチラシをただ送りつけるといったやり方はよくありません。平素の支援の感謝を表しながら寄付のお願いをするといった配慮が必要でしょう。