中期計画の策定で行きづまった時の「OPS」


団体の中期計画の策定の際に「今やっていることで手一杯なのに先のことなど考えられない・・」という気持ちになる場合があります。策定チームが団体内に立ち上がったのに一向に策定作業が進まない・・そんな時には、「Opportunity Planning Session (OPS)」をなさってみてはどうでしょう。

中期計画は、3年後(あるいは5年後)に団体が何をどうやって実現していくのかを明文化するものです。社会の課題解決、よりよい未来の実現のための活動に支援を募る際に、きちんとしたシナリオを示さなくては、信頼してもらえず、「今のところは、ちょっと・・」となってしまいます。

また、米国では、単年度のプログラムであっても、ほとんどの助成金申請の際に中期計画の提出を求められると聞いたことがあります。きちんとした計画性のないところには、助成しても、その後の発展が見込めないという考え方からでしょう。

中期計画の立て方の基本は、3年後、5年後に実現したい状況を設定して、そのためにするべきことを「ホップ・ステップ・ジャンプ!」というように年次の目標として、最終的には年次計画に落とし込んでいくという作業です。(中期計画の策定の基本については、「S.M.A.R.Tな中期計画」をご参照ください。)
http://fundraising-lab.jp/archives/898

でも、実際に「中期計画を立てよう!」となった時、実現可能性ばかり考えて、結局、現在の年次計画を3年分積み上げて、ほぼ「現状維持」といった、およそ団体の成長戦略とはほど遠い内容になってしまうことがあります。それでは、社会の期待値はあがらず、「よし、応援しよう!」と思ってもらえず、スタッフのモチベーションも上がりません。かといって、夢ばかり追って具体性に欠ける・・というのでは計画倒れになってしまいます。

そこでおすすめしたいのが,オポチュニティ・プランニング・セッション= Opportunity Planning Session (OPS)という手法です。

この手法は3つのステップからなります。

ステップ1:
3年後の成功しているイメージを共有します。例えば、「3年後の新聞に自団体が大きく取り上げられた」と仮定して、今の事業がどう素晴らしい成果を上げているのかを、のびのびと自由にイメージします。ここで大事なのは、いかに確実に成功しているイメージを抱けるかということです。「3年後に子どもたちと”月”で合宿!」みたいなのではなく、それでいて発想にブレーキはかけない、けっこう「大人の発想」が求められます。

ステップ2:
現在の団体がもっている経営資源、いわゆる「ヒト、モノ、カネ」のことは忘れて、ステップ1でイメージした成功をもたらした要因を列挙します。

ステップ3:
ここからが「現実」と向き合う作業です。列挙した成功要因の中から、成功をもたらした要因の重要度(優先順位)を付け、現状の達成度を確認します。そこで、3年後におよそ実現不可能な目標だったら、それを現実に合わせて修正することになります。そして、重要度と達成度に基づいて、3年間の実行計画に落とし込んでいきます。ここで肝心なのは、「計画」となった途端に、実現可能性(できそうなこと)にばかりとらわれ、実現したいこと、そのために必要なことを考えるのをやめてしまってはならないということです。

では、具体例をあげてみます。

例えば、男性の子育て参加の促進を目標に活動している団体が、3年後に「全国100か所でパパと子どもの焼き芋大会を同時開催!ママも大喜びで2万人が参加」みたいなことをイメージしたとします。
(ステップ1)

そのためには、全国に会員がいる、各地でボランティアのネットワークができている、焼き芋大会開催ノウハウが確立している、各地のプレイパークとの連携が確立している、などが成功要因としてあげられるでしょう。(ステップ2)

そして、現在は首都圏に偏在しているボランティアをどう全国に広げていくのかを最重要課題としたら、そのために必要なことを考えなければなりません。3年間で自団体のボランティアネットワークを全国に拡大するのが無理と思われたら、同様の活動をしている地域の団体を探して、そこと連携して共催していくために何をしていくのか・・といった計画に落とし込んでいくことになるでしょう。ここで、「どうせ無理だから首都圏10か所開催にしよう」というような方向にもっていかないことが大切です。(ステップ3)

ID-100383608団体の中期計画については、いつまでたっても策定できなかったり、あるいは、せっかく「中期計画(案)」ができたのに、スタッフ間の合意形成ができなかったり、理事会で承認されなかったりということで頓挫してしまったという残念な話を聞きます。

「どうせ」「そんなの」といったネガティブな発想で行きづまったら、「夢の共有」から始まることで、ポジティブな発想ができる「オポチュニティ・プランニング・セッション」を試されてはいかがかと思います。