「S.M.A.R.T」な中期計画


皆さんのNPOでは「中期計画」を策定されていますか?中期計画に欠かせない5つの要素の頭文字は”SMART”です!今回は「スマートな中期計画」について考えてみます。

中期計画は、3年後、あるいは5年後に団体が何をどうやって実現していくのかを明文化するものです。

社会の課題解決、よりよい未来の実現のための活動に支援を募る際に、きちんとしたシナリオを示さなくては、信頼してもらえず、「今日のところは、ちょっと・・」となってしまいます。

以前、「中期とはどのくらいですか?」と言う質問を受けたことがありますが、だいたい3年から5年程度かと思います。その根拠というのではありませんが、独立行政法人通則法でも、中期計画の「中期とは3年以上5年以下(第29条)」とあります。

中期計画策定の意義を簡単にまとめると下記になります。

■支援者にとって
-具体的なメッセージ(シナリオ)によって共感が補強される
-計画性があることから信頼感を抱ける
-計画が実行されていくプロセスで支援の意義を実感できる
■理事会・事務局にとって
-意識の統一化を図ることで、各自の役割が明確になる
-到達イメージが明確となり、モチベーションがあがる
-進捗確認の過程で、軌道修正を含めた適切なマネジメントができる
-策定のプロセスを通じて、組織が成長する

米国では、単年度のプログラムであっても、ほとんどの助成金申請の際に中期計画の提出を求められると聞いたことがあります。きちんとした計画性のないところには、助成しても、その後の発展が見込めないという考え方からでしょう。

では、中期計画を策定する際に必要な要素は何でしょう。

企業における目標設定について”SMARTの法則”というのがあります。これは、1981年に米国のGeorge T. Doran氏が提唱したもので、Doran氏は「SMART」とは、具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能性(Attainable)、関連性(Relevant)、タイムリー(Timely)を指すとしていましたが、その後いくつかの別の文言でも表されて一般化されています。

ID-100307830今回の「SMART」は….
■Specific:具体的
■Measurable:計測可能
■Agreed:合意
■Realistic:現実的
■Time-bound:期限設定

これらの「SMART」がNPOの中期計画にも重要だと思います。では、それぞれの説明をします。

■Specific:具体的
計画ですから、具体的なアクションを表さなくてはなりません。例えば、「ネットを活用してより広く広報を行なう」ではなく、「ホームページを改訂する」「メールマガジンを配信する」「Facebookページをつくる」「代表のブログを開設する」といった具体策を示すということです。

■Measurable:計測可能
これは、具体性にも通じますが、計画達成に向けた進捗確認のためにも、そして最終的な評価のためにも具体的な指標を盛り込む必要があります。3年、5年後のゴールに向けて、年次で「どこまでやるか」の数値目標が必要です。「会員数を増やす」なら、「各年度で何人にまで増やすか」を決めます。そうすることで、もし、達成できなそうだとわかったらば、やり方の見直しをすることで先手をうっていくことができます。

■Agreed:合意
計画を実行していく人たちが計画に納得していなければうまくいきません。NPOの場合、強い思いと志で活動している人たちが多いだけに、合意形成のプロセスが欠かせません。「誰かが勝手に決めたこと」ではやる気が出ないと言うのが実際です。さらに、この合意形成を理事会や職員という「団体内部」だけではなく、支援者にも拡げられたら、支援者にも計画を実行する仲間という意識が育まれ、いっそうの支援につながるでしょう。会員を対象にして「中期計画案」に対する意見募集をおこなうというのも一案です。

■Realistic:現実的
目標は高く掲げたいものですが、実現性も大事です。この場合の実現性には2つの意味があります。一つは団体として「3年後に実現したいこと」を現実化するための手法として相応しいかという観点。もう一つは、「Mesurable」のところで設定する指標が実行可能なものかという点です。チャレンジ精神を感じさせない「中期計画」ではモチベーションがあがりませんが、「絵に描いた餅」にならないためには、「やれそうなところのちょっと上」を設定するというのが妥当かもしれません。

■Time-bound:期限設定
中期計画は年次計画、さらには月次計画に落とし込む必要があります。具体的なアクションを、いつまでに(期限)、どのくらい(指標)実行するのかを明確にして、進捗を管理しないと万事が後手になって計画倒れになりかねません。そのためには、中期計画策定時に、その進捗管理のプロセスも(各アクションの担当者がどのタイミングで誰に対して進捗報告を行い、どう団体内で共有していくか、それらを統括して進捗管理するのは誰なのか、等)決めておく必要があるでしょう。

「社会を変えるシナリオ」として、上の要素を盛り込んだ「中期計画」を策定して公開していくことが、団体のミッション達成のプレイヤーを増やし、そしてそれぞれの役どころを果たしてもらうために欠かせないと思います。