寄付をする人の心理〜3つのステップ〜


寄付をお願いされた人が、実際にお財布のひもを解いて寄付をするまでには、どのような心の動きがあるのでしょう?

この動きを少しでも理解していれば、寄付を集める時に、どのような働きかけをしたらいいかがわかると思います。今回は、寄付者の心理を3つのステップで考えていきたいと思います。

3つのステップを公式化すると下記になります。
因数分解

 

 

右脳左脳
人間の脳には右脳と左脳とがあり、右脳の主な機能は感性・感覚をつかさどることで、 左脳の主な機能は論理的な事柄をつかさどるとされています。人が支援しよう!と思い至るには、まずは社会の課題について「かわいそうだなあ」とか、あるいは活動について「いいなあ」と共感してもらい、そこから、その団体の活動の内容について「なるほど」と納得してもらい、そして「信じて託す」ことで寄付という行動になるという考え方です。

では、各ステップを具体的に考えてみましょう。

ステップ1:共感

大辞林で「共感」を引いてみると「他人の体験する感情を自分のもののように感じとること」とあります。

まずは団体の活動の背景にある社会の課題、それによってつらい思いをしている人、それによって笑顔を得た人、そういう人たちについて「我がこと」として「共感」してもらわないとなりません。「共感」というのは、ある意味感情的で理屈抜きに心を引き寄せられて「かわいそう…」「大変だ!」「許せない!」「楽しそう!」「かわいい!」「いいなあ!」みたいな感情を抱いてもらうことだと思います。団体側から言うと、「心をとらえる」こと、それが支援に至るまでの最初のステップではないでしょうか。

そのために何をしたらいいか・・・・百聞は一見に・・と言われています。まずは写真や動画などとともに社会の課題を可視化して伝えることです。言葉で説明する場合も、写真1枚でもいいので見せながら話しましょう。そして、受益者や活動メンバー、あるいは支援者の「ストーリー」も共感につながります。寄付を募るには「ストーリーテラー」でなくてはなりませんね。難解な言葉で長々説明するというでは逆効果。感動的な小さなエピソードをひとつ語るだけでも大きな共感が得られます。

ただ、私達はテレビや新聞やネットニュース、あるいは日常的な会話の中でさえ、何かの情報に触れて「心が揺さぶられ、そのことが心にとどまる瞬間」がたくさんあります。言い換えれば、多くの場合心は次の対象に移ろっていくものです。心揺さぶられるものの全てに感情移入して抱え込んでいく訳にはいかないのが人間のようです。

そこで、共感してもらったらすぐに次のステッップに移ってもらう必要があるのです。それが「納得」です。

ステップ2:納得

「かわいそう…」「いいなあ!」という共感を得たら、「そのために私たちはこういう活動をしています」ということ、すなわちステップ1で共感してもらった社会の課題の解決策を提示して「納得」してもらう必要があります。「なるほど!」と思ってもらうということです。

そのために何をしたらいいか・・・ここではロジカルに、かつ、わかりやすく団体の取り組みを伝えなければなりません。解決策の提示ですから、「こうすれば、こうなる」ということを示すのが必要で、ここで「毎日、一生懸命がんばってます。」と感情だけに訴えてもダメです。

この段階ではじめて、団体のとりくむ具体的な活動への理解が生まれ、「この団体を応援したい、支援したい」という気持ちに進むのではないでしょうか。

ただ、ここにもうひとつ大事なステップが残っています。どんなに社会の課題に心が揺さぶられ共感し、その解決策に納得しても、「この話、信じていいの?」と疑われてしまったらどうでしょう?そこで3つ目の大事なステップがあります。

ステップ3:信頼

「信頼」には2つの意味があると考えます。ひとつは「ウソでないこと」。言葉巧みな詐欺師のように思われてしまってはなりません。そのためには・・・過去の事業報告や会計報告、代表や理事の名簿、活動拠点などの情報公開がきちんとされていなければなりません。

もうひとつは、「ほんとうに出来るの?」という団体の実行力についての疑念です。それを払拭するためには・・・活動実績があれば、それをきちんとデータなどで示すこと。もし活動実績が乏しい場合なら、緻密な計画や実行者の能力などについても説明する必要があります。

こうした信頼を得るための情報は、パンフレットなどで渡すことでも十分な場合もありますが、「共感して納得した」人が、最後に「ふと、気になって自分で調べる」ことが想定されます。そのためにも、ぜひ、ホームページを整備して下さい。

この3つのステップを経て、「じゃあ寄付してみよう」と思ってもらえるのです。

この心理的なステップはごく短時間で進む場合もあるでしょうし、慎重に時間をかけて進められる場合もあるかと思います。ただ、人は心変わりするものです。ですから、できるだけスムーズに進むように工夫しないとなりません

寄付依頼のパンフレットを手に取った人が、ホームページを訪れた人が、話を聞いてくれる人が、このステップの1から3を流れるように進めると寄付に至るのだと思います。自団体のパンフレット、ホームページ、代表のスピーチなどが、各ステップの3要素を含んだ内容になっているか、一度確認してみてください。