企業支援を受ける時の3つの留意点

企業からの支援は、その規模や支援内容の多様性でファンドレイジングの対象として重要なものです。寄付やイベントなどへの協賛にとどまらず、寄付付き商品の開発や、いわゆるBOP(Base of the Economic Pyramid)ビジネス開発など、ビジネスパートナーとなる可能性もあるでしょう。

そこで、企業の支援を得ていく上で、気を付けておくべきポイントを考えてみます。

1)事前に企業の情報を収集しておくこと

支援依頼をする前に、依頼先の企業についての情報収集をして、自団体にとって適切な相手かどうかを確認しておかねばなりません。

いわゆる「不適切」というのは何も「反社会的」という意味だけではありません。仮に、子育て支援団体が、残業を巡って労使間のトラブルが続いているような企業から寄付を受けるのは適切でしょうか?あるいは、アルコールの問題に取り組む団体が、酒類を扱う企業を法人会員にすることは、団体内でも賛否が分かれるに違いありません。事前にネットなどで情報収集して、団体内でも情報共有した上で、支援依頼を行う必要があると思います。

2)団体ミッションの共有を忘れないこと

たとえば、途上国支援団体が企業と連携して寄付付き商品を開発して販売した場合、もし、その商品が途上国での児童労働によってつくられたものだったら、どうなるでしょう?

団体は資金調達ができて、企業は利益が得られて、これでWin-Win だと喜んではいられません。団体の存在価値が疑われ、これまでの支援者を失望させ、失うことにもなるでしょう。

企業は利益の最大化を図らねばならない組織ですが、協働していくのであれば、団体のミッションを共有してもらうことが欠かせません。

団体と企業の「Win-Win」を超えた、企業にとっても、団体にとっても、そして社会にとっても「三方よし」とならなければ、そもそも何のためのファンドレイジングかと問われてしまいます。

3)共通言語をもつこと

NPOへの支援や連携を考える企業は、社会の課題の解決に貢献することで社会的責任を果たそうとしている点で、営利・非営利の枠を超えた発想をもった存在です。しかし、企業には自社の利潤の追求を基本とする企業の論理があり、それに根差したスピード感や物事の進め方があります。

他方、参加型で社会課題の解決に取り組むNPOには団体としてのこだわりをもった進め方があります。

例えば、一つの事業の成果を図るにも、企業が定量的に、NPOは定性的にとらえようとする場合があります。例えば、イベント開催後に、協賛企業の人が参加者数を、NPOはアンケートの満足度を最も気にかけるといった違いがあるかもしれません。

こうした違いに接して、「だから、わかりあえない」と失望し合うのではなく、ともに目指すものを、できるだけ共通の言葉で共有する努力をしたいものです。先のイベントの例で言えば、まずは、「参加者300人の笑顔」という共通の言葉で表せる目標を打ち出して、その上で、それぞれの期待するものを表す数値や状況を具体的に共有していくことで、共通言語化が進んでいくと思います。

企業とNPOが関係性を深めていくなかで、共通言語が話せる人、あるいは両方の言葉が話せるバイリンガルな人が増えると、営利・非営利を超えた、地域を、社会を、未来を変える取り組みが増えていくに違いありません。