寄付集め7つのステップ「Step 7 感謝・報告・評価」(最終回)

ここまで6つのステップで戦略的な寄付集めを考えてきました。いよいよ最後のステップです。それが寄付をしてくださった方々への感謝と報告からなるフォローと次のファンドレイジングにつなげるための評価です。

1. 報告

寄付をした方は、「その寄付がどう使われたのか?」を知りたいものです。そもそも、寄付というのは、社会の課題の解決を「自分に代わって確実に実行してくれる人たち」に託すお金。「託した」のですから、その結果を知ることは、寄付者の権利です。

そこで、寄付者に対して、寄付によってできた事業についての報告をしなければなりません。事業の進捗上、最終的な報告ができない場合でも、一年以内には何らかの中間報告がないと、寄付者自身が寄付をしたことを忘れてしまい、継続的な支援につながらなくなってしまうでしょう。また、「それなら年一回の総会で…」とか「所轄庁への事業報告をホームページに…」というのでは不十分です。寄付者が「寄付をして良かった」と実感し、寄付という行為が成功体験となるような報告をするためには、単に文章で活動を説明するのではなく、写真などを盛り込んで、寄付金の使途や、その成果がビジュアルに示されることが大事です。寄付者は活動場面を見ることができるとは限りませんから、文字だけでは活動をイメージしにくく、「寄付をして良かった」と実感してもらえません。

2.感謝

Untitled人は感謝されると、自分が誰かのためになったことを嬉しく思い、また次の機会に「何かしてあげよう」と思うものです。これが、寄付に関する「成功体験」になり、更なる支援につながるのです。

では、どのタイミングで感謝を伝えることが必要なのでしょう?感謝は何度でもすればするほどいいと言われていますが、以前、米国のファンドレイザーから、「3つのRを忘れずにね」と教えてもらったことがあります。

1)Receipt:お金を受け取ったとき

銀行振り込みなどで領収書の発行を必要とされていない場合でも、受領の確認とともに、感謝のメッセージを何らかの方法で送りましょう。お礼の言葉をきちんと送ることで、感謝とともに安心感も届きます。

2)Report:お金を使ったとき

心のこもったお礼のメッセージとともに、寄付の使い道が報告されると、寄付者は寄付をして良かったと思うに違いありません。

3)Renew:あらたに寄付を求めるとき

「一度寄付してくれた人にまた寄付をお願いするのは申し訳ない」と考える必要はありません。寄付者は、感謝や報告のやりとりから、団体との絆を、そして社会課題の解決活動に参画していると実感してくれています。ですから、たとえすぐに次の寄付をせずとも、団体に「期待されている」ことは決して不愉快ではないのです。

3.評価

Step 1から6、そして寄付者のフォローをしたら、寄付集めがうまくいったかどうかを検証しなければなりません。評価は、まずは目標額が達成できたかを確認するところから始めます。もし、達成したらば、次も同じような手法でファンドレイジングに取り組めばいいのですが、そもそもの目標額の設定が相応しかったのか(低すぎなかったか)という見直しもしてみましょう。そうすることで、次の正しい目標額の設定もできます。

もし、目標額を達成できなかったらその理由も見いだしましょう。改善策なしに同じことを繰り返すのは避けないとなりません。

また、獲得した金額以外にもいくつかの指標で評価してみて下さい。寄付者数、リピーター率、同一寄付者の金額アップ率などからも今後のヒントが得られるはずです。直接寄付に関連しない数値、たとえばイベント参加者数、メルマガ登録者数、ボランティア数などもファンドレイジングの効果を表しています。なぜなら社会に対して良好なコミュニケーションをとっていたらば、それらにも効果が出て、そこから新しい寄付者も生まれてくるからです。

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これで、7つのステップの説明は終了しました。

「寄付集め7つのステップ」はサイクルとしてとらえることで、支援者の維持と拡大が図れます。同じレベルでグルグル回すのではなく、上昇気流のように団体のファンドレイジング力を高めていくことが重要だと思います。

日本ファンドレイジング協会「認定ファンドレイザー必修研修テキスト」より

日本ファンドレイジング協会「認定ファンドレイザー必修研修テキスト」より

寄付集めの7つのステップについて更に詳しく知りたい方は、日本ファンドレイジング協会から販売されているブックレットNo.3もご活用下さい。

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改訂版
ファンドレイジング入門 7つのステップ 中期計画のたて方
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