クリック募金とは、ウェブ上で「募金する」等のバナーをクリックすることで、クリックした本人の金銭的な負担無しに、スポンサー企業からNPOなどに寄付される仕組みです。その意義と成功のポイントを考えてみます。
一日にひとり一回の制限や、寄付総額の上限等が設けられている場合もありますが、だいたい1クリックで1円が寄付されるという感じです。クリックすると、スポンサーのウェブサイトに移動することが多く、スポンサーにとっては、それ自体が社会貢献になるとともに、社会的課題等に関心の高い層に対象を絞って、会社の社会貢献プログラム、商品やサービスを宣伝する場となるというメリットがあります。
NPOが分野や地域や規模に関わらず登録して参加できるプラットフォームとして、下記の2サイトが広く知られています。
■ sumabo http://www.dff.jp/ ■
2000年から「クリックで救える命がある」という名称で始まった、日本におけるクリック募金の草分け的存在です。これまでに800万人以上が参加して、4億4千万円以上の寄付が実行されています。
■ gooddo http://gooddo.jp/ ■
2013年から始まったクリック募金。「応援する!」ボタンを押すと、10~1,000ptまでランダムにポイントが加算され、週ごとに一定のゴールに達成すると支援金が決まる、上位10団体は支援額が倍になるといったゲーム性のある仕組み。すでに5千万円以上の寄付が実行されています。
クリック募金には「ちりもつもれば」的なファンドレイジングですが、資金を得ること以外にもいくつかの意義があります。
- 一日一回、団体のことを思い出してもらえるというで団体との結びつきが深まる
- 集まっているクリック数や応援メッセージ等をみて、自分以外の支援者の存在を感じてもらえて、支援者間の仲間感が育つ
- クリックから入って、寄付やボランティアといった支援のレベルをあげてもらうきっかけとなる
- 企業が応援しているということで信用が増す
- クリック募金のサイト上で活動の紹介がされることで広報の場となる
このように、クリック募金は、そこから得られる金額以上の意味があると思います。
NPOにとって手間や経費がかからず、支援者にとっても経済的負担がない寄付ということで、思わず飛びつきたくなるファンドレイジングの仕組みですが、やはり成功させるにはいくつかのポイントを押さえておかなくてはなりません。「登録されたら、何もしないでも寄付金が集まる」という訳にはいきません。そこで、最低限押さえておくべきポイントを3つあげてみます。
1.既存の支援者に依頼する
団体のことを全く知らない人がクリックしてくれる可能性は高くありません。まずは、会員、寄付者、ボランティア、メルマガ登録者などの既存の支援者に「クリック募金に協力して下さい!」と依頼することが大切です。団体を応援してくれている人たちは、「これ以上の負担は・・」と思っていても、クリックするだけで支援できると知ったら、きっと協力してくれるでしょう。
クリックの多い団体はクリック募金のサイトで「上位」として掲載されたりしますので、それを見て、新たに団体のことを知って応援しようと思ってくれる人が出てくるのだと思います。スタッフも含めて、まずは「身内から」拡げていくということです。
2.SNSを活用する
インターネットを使ったクリック募金ですから、TwitterやFacebookでアピールすることでクリックという行動につながりやすいと思います。団体のオフィシャルアカウントやスタッフの投稿に加えて、支援者にシェアやリツイーとなどを依頼することで「拡散」が期待できます。
それぞれのメッセージに自団体へのクリック募金画面のリンクをはっておくことで、簡単に寄付にまで到達してもらえます。「お気に入り」や「ブックマーク」に登録してもらえたら、パソコンのインターネット起動時のページに設定してもらえたら、嬉しいですね。
3.成果を伝える
「今週は皆様のクリックのお陰で、・・ポイント(円)が寄せられました!」という報告を感謝とともに団体のホームページ、ブログ、SNSでこまめに報告することが、応援する気持ちのある人の「毎日の1クリック」につながります。クリック募金のサイトでは、クリックしてくれた人の個人情報が団体に送られてはこないので、直接お礼をすることはできませんが、こうした記事を見ることで、感謝の気持ちが伝わり、「やりがい」を感じてもらえるでしょう。
これまで、寄付や会費といった支援金は提供していなかったけれどボランティアとして活動に参加していた、とくに支援はしていなかったけど団体の活動に関心があってメルマガを購読していた、そういう人でもクリックすることが寄付になるということ知れば気軽に協力してくれるでしょう。それでも、1クリック1円という少額だと、「これがどれだけの意味があるのだろうか?」と思ったりします。それだけに、結果を折々伝えられることで、「励み」にもなります。
「0円で寄付ができる」ということで注目されるクリック募金は、パソコンだけでなくスマートフォン、タブレットなどからも手軽にクリックできる仕組みとなっています。
ぜひ、上のようなポイントを押さえながら挑戦してみて下さい。