プロボノと連携する際の5つのポイント

プロボノとはラテン語で「公共善のために」を意味する “pro bono publico の略で、元来は弁護士など法律に携わる職業の人々が無報酬で行う、ボランティア活動を指したそうですが、現在は、各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般を意味しています。

ファンドレイジングにおいても、情報発信、ツールの作成、業務改善、計画立案、寄付者コミュニケーションのためのIT活用など、それぞれの分野の専門家がプロボノとして活躍する場面がたくさんあります。

そこで、プロボノとの連携を成功させる5つのポイントをまとめてみました。(8つのプロボノ団体のご紹介もします。)

実際、コンサルタントとともにファンドレイジング戦略の立案をした、ウェブクリエーターが団体ホームページを製作・メンテナンスしている、ITの専門家が寄付者データベースを構築した、イベントプランナーがチャリティイベントの運営マニュアルをつくった、広告代理店のクリエーターが団体紹介パンフレットをつくった・・といった話を聞いたことがあります。その多くが「プロボノの協力に心から感謝している!」という成功談ですが、一方で、「せっかくプロボノに頼んだのに、期待するような成果が得られなかった。」という残念な話も聞きます。そこでプロボノとの連携を成功させるポイントを考えてみました。

1.必要としている専門性の明確化

「システムエンジニアにプロボノで仕事帰りに事務所に来てくれもらったら、なんとなく遅れている感じの事務局内のIT環境がいろいろ改善されるだろう・・」みたいな考え方はプロボノ活用とほど遠いものです。「改善したいIT環境」って何なのでしょう?専門性を活かして何をしてもらいたいのかが明確でなくてはプロボノの力を発揮してもらえません。

2.団体のことを理解してもらう

団体の掲げるミッションへの理解と共感がなければ、専門性を惜しみなく提供してはもらえません。また、団体の事情について、予算や人材に限りがあること等を理解してもらわないと、実現可能なソリューションを提供してもらえません。

3.「やってもらいたいこと」をきちんと伝える

以前、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会の清野陽子氏が、日本ファンドレイジング協会の研究会で、「プロボノと団体がハッピーに協働するコツ~オリエンシートを使おう」と題する講演をして下さいました。その際に、プロボノの力を借りて募金のダイレクトメール(DM)を作成した時に用意した「オリエンシート」を見せてくれました。そこには、目的、目標/KPI、ターゲット、打ち出したいメッセージ、トーン&マナー、スケジュール等が明確に示されていて、それを共有してから作業を開始したそうです。「やってもらいたいこと」をきちんと伝えたからこそ良い成果が生まれたという事例です。このセミナーの報告文は、日本ファンドレイジング協会のブログでご覧になれますので、ぜひ、参考になさって下さい。 http://blog.canpan.info/jfra/archive/1075

4.事務局スタッフとチームを組む

専門家だから任せっぱなしというのでは、プロボノの負担が重くなりすぎます。専門性を要する作業は任せるとしても、事務局スタッフを交えたプロジェクトチームの一員として関わってもらうことで、団体が期待している結果から逸れてしまう可能性も避けられます。

5.プロボノ団体を通じた依頼

プロボノとして協力してくれる人材が団体の身近にいるとは限りません。また、専門知識や技術を持った人をボランティアとして募集するのは時間と手間のかかるものですし、プロボノという役割を理解している人が申し出てくれるとも限りません。そこで、プロボノサービスの提供団体を通じて協力を求めるといいでしょう。

参考までに、下記に、8つのプロボノ団体をご紹介します。

1)サービスグラント http://www.servicegrant.or.jp/
様々なプロフェッショナルスキルを持った「プロボノワーカー」が4〜6名からなるプロジェクトチームをつくって、支援先として採択された団体に対して具体的な成果物を提供するために6ヶ月間プロボノとして活動します。

2)二枚目の名刺 http://nimaime.com/
「二枚目の名刺」とは、本業・本職で持つ1枚目の名刺の他に、もう1つの社会活動に取り組む人が持つ名刺のこと。ビジネスマンがプロジェクトチームを組み、NPOの経営課題に取り組む「サポートプロジェクト」をコーディネートしています。

3)Social Marketing Japan
ボランティア/社会貢献を通じたパラレルキャリア(もう一つの人生)を応援するウェブサイト「もんじゅ」http://monju.in/ を運営しています。

4)プロボネット http://www.probonet.jp/
NPOだけでなく、中小・ベンチャー企業への無償コンサルティング支援を実施しています。

5)a-con http://www.a-conweb.net/
主に。NPOのコミュニケーションをサポートしています。広告・PRやメディア関係者だけではなく、コンサル・プログラマー・金融・ベンチャー・NPOなど、多種多様な業界の社会人が集まっています。

6)テントセン http://www.tentosen.org/
ソーシャルメディア専門家が、facebookやTwitterなどの活用支援によってNPOの情報発信をサポートしています。

7)Code for Japan http://code4japan.org/
システムのプログラマーなどで構成され、テクノロジーによってNPOを支援しています。

8)PVプロボノ http://pvprobono.com/index.html
CM、テレビ番組、映画などの制作現場で活躍するプロの映像クリエイターがプロモーションビデオの企画・制作を通じて、NPOをサポートしています。

プロボノの協力を得て、ファンドレイジングをさらに「進化」させてみてはいかがでしょう。