米国「2016 International Fundraising Conference」(3月20~22日)参加レポート~その3~(全4回)


3月20日~22日までの3日間、アメリカのマサチューセッツ州ボストンで開催された、米国ファンドレイジング協会(AFP=Association of Fundraising Professionals)主催の「2016 International Fundraising Conference」に参加してきました。

今回、私が受講した9つの分科会と2つの講演からの学びを全4回で皆様と共有したいと思います。今回はその第3回目です。

無題■その1(こちらに掲載済み)
■その2(こちらに掲載済み)
■その3(本記事)
■その4(こちらに掲載済み)

■分科会■
7)Embracing Objections–Why “No” May Be the Best Words You Will Hear!
ファンドレイジングの過程で「No」と言われることを恐れず、むしろ異議を唱えられたことに対する適切な対応して、「No」を「Yes」に変える、あるいはその理由を考えて次のファンドレイジングに活かすことを学ぶセッション。

まず、「No」と言うには、以下の4つの懸念があるからだという点が話されました。

  • 本当に重要な取り組みをしているのか?
  • 団体は順調に運営されているのか?
  • 私の寄付が社会を変えられるのだろうか?
  • 寄付してよかった(満足)と思えるだろうか?

こうした点が説明不足だと賛同を得られないということです。

また、興味深かったのは下記の「“異議”に対処する7つのテクニック」について。

  • 相手の気持ちに共感してみせる(Feel, Felt, Found out)
    「お気持ちはわかります。同じように感じられた方たちもいらっしゃいました。でも、その方たちにもわかっていただけました・・」という論調で話す。
  • 補強する(Compensation or Counterbalance Method)
    相手が指摘した点を認めたうえで、それを補って余りある団体の価値があることを語る。
  • どういう点が納得いかないのかを尋ねる。(Ask Why?)
  • 唱えられた意義を否定する。(Deny the Objection)
    「すみません。きちんとご理解いただけなかったことをお詫びします。あらためてご説明させていただくと・・・」という感じ。
  • 反論(Boomerang Method )
    きちんとした証拠をあげながら懸念に対して説明すながら反論していく。
  • 不思議そうにする(Curiosity Method)
    「えっ、本当ですか?どうしてですか?・・・」というように尋ねる。
  • 話をそらす(Deflection Method)
    「おっしゃることはよくわかります。そこで・・・」みたいに。

転んでもただで起きない・・災い転じて福となす・・・ということわざが頭によぎったセッションでした。配布資料はこちら embracing objections

8)Donor Relations the Disney Way
disney講師は、「ディズニーランドの成功のカギは、ウォルト・ディズニーが遊園地の設備ではなく、来園者への顧客サービスに徹したこと。そこには寄付者との関係性の構築のヒントがたくさんある。」と語り、ディズニーの名言やディズニーランドの写真を交えて、下記のような、ファンドレイジングに活かせるいくつかのポイントをあげました。

  • ディズニーランドのキャストはあらゆるもの(放置された芝刈り機についてでも)をストーリー(物語)にして語ることができる。ファンドレイザーも、活動のすべてをストーリーとして話せるように。
  • ディズニーの哲学は「ゲスト(客)が常に正しいとは限らない、それでも、彼らは常にゲスト」。ディズニーランドのガイドラインには、「Listen」という項目がある。寄付者の声に耳を傾け、疑問に答えて、もしこちらが正すべきことがあったらすぐに実践してわだかまりをとこう。
  • 「みんなに」ではなく、「あなたに」という姿勢。たとえば、郵送物には切手を貼って宛名を手書きして送るというように。
  • ディズニーの会社はゲストと同じようにキャストを大事にする。団体もスタッフを寄付者と同じくらい大事な存在だと考え、その気持ちを彼らに伝えること。
  • ディズニーの全ては一匹のネズミ(ミッキーマウス)から始まった。私たちにとっては、すべてはミッションから。

ウォルト・ディズニーがディズニーランドの構想を持った際、他の遊園地のオーナーや専門家は「うまくいくわけない」と言い切ったそうです。それを独創性と工夫とサービス精神で大成功したという話も聞きました。20年ぶりにディズニーランドに行ってみようかなあと思いました。
配布資料はこちら Disney

9)Why you must start a monthly giving program – Today
まず講師は、マンスリー寄付(自動引き落としによる月額寄付会員)は下記の7つの点からぜひとも導入したい寄付の仕組みだと話されました。

  • 年間寄付収入の増加
  • 寄付者との関係性の深化
  • 費用対効果がいい
  • 収入の見込みが立つ
  • 長期に寄付が繰り返される
  • 遺贈などのステップアップが見込める
  • 手間がかからない

実際、マンスリー寄付は、単発寄付に比べて下記のようなアドバンテージがあるそうです。

・年間寄付金額の差
単発の寄付:$134.71 マンスリー寄付:$202.22
・5年間での総額の差
単発の寄付の繰り返し:$621 マンスリー寄付:$929

また、マンスリー寄付者は、下記の5点でありがたい存在だとされました。

  • 高い継続率
  • それ以外にも寄付をしてくれる
  • 長きにわたって支援してくれる
  • ミッションの提唱者となってくれることが多い
  • 遺贈してくれることも多い

ただ、このような団体にとって大切なマンスリー寄付者に対しては、下記のような対応をきちんとしないとならないと話されました。

  • マンスリーになってくれた際のお礼
  • 年に一度はお礼状を出す
  • マンスリー寄付者とのコミュニケーションプランの策定
  • 報告
  • 遺贈などについての案内

システム的には「自動継続」のマンスリー寄付者ですが、データベースなどできちんと管理したうえで、人間的なパーソナルなコミュニケーションをとって関係性を維持・深化していくことが重要だということです。配布資料はこちら monthly

■講演■
クミ・ナイドウ:グリーンピース・インターナショナル事務局長 

kumi南アフリカ出身のナイドウ氏は、15歳で反アパルトヘイト運動に身を投じ、警察による虐待と投獄を逃れて英国に亡命後、奨学金を得てオックスフォード大学で政治社会学の博士号を取得。

1990年のネルソン・マンデラ解放後、南アフリカに帰還し、教育、開発、女性や子どもの人権問題など、さまざまな分野で南ア社会の民主化と国際的な組織や運動でリーダーシップを発揮されてきました。

“Is your choice philanthropy or foolanthropy?” (フィランソロピーと人間の愚かさとどっちを選ぶ?) という冗談めかした問いかけから始まった講演でしたが、彼の社会正義に対するの不屈の闘志には皆が感動しました。大会会期中のツイッターでもたくさんの「感銘を受けた!」というツイートがありました。

また、“Professional fundraisers are often evaluated on quantity not quality.”(ファンドレイザーは質より量で評価されることが多い)という指摘もありました。これは、ある意味自戒すべきことだと受け止められます。

講演では彼が共感する座右の銘がいくつか紹介されました。そのなかでも私が感銘を受けたのは、下記の散文です。
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この道は一度しか通らない道。
だから役に立つこと、人のためになることは、
今すぐやろう。
先へ延ばしたり、忘れたりしないように。
この道は2度と通らない道。
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実はナイドウ氏は東日本大震災被災地支援で何度も福島を訪れておられるそうです。パーティでは、「名前が日本人っぽいでしょ?」と声をかけてくれました。(続く)
■その1(こちらに掲載済み)
■その2(こちらに掲載済み)
■その3(本記事)
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