イベント参加を「支援」につなげる5つのポイント

NPOの多くが様々なイベントを開催しています。それぞれのイベントにはその目的に応じた「仕立て」がありますが、いずれのイベントにも共通する目的があります。それは「支援者拡大」。イベント参加を支援につなげるにはどうしたらいいか、5つのポイントで考えてみました。

NPOのイベントの開催目的には様々です。
・社会の課題を知ってもらう(シンポジウムなど)
・課題解決に取組む自団体への理解を深めてもらう(活動報告会など)
・関係者間の交流(会員の集いなど)
・とにかく資金調達!(チャリテーパーティなど)

実際には、多くのイベントの目的は優先順位はあっても「混在型」です。

ただ、どんなイベントであれ、共通する重要な「目的」は、「団体の取り組む社会の課題に共感してもらい、課題解決に取組む活動を支援してもらう」ことだと思います。

イベントには、初めて参加する人と、リピーター、さらにはすでに支援者となっている人(寄付者やボランティア)の参加があります。「友達に誘われたから」「なんとなく時間つぶしに」といった消極的な動機で参加する人から、「かねてから強い関心があった」「支援者として応援し続けている」人たちまで団体に対する思いの強さもまちまちです。

そういう多様なイベント参加者に「団体の取り組む社会の課題に共感してもらい、課題解決に取組む活動を支援してもらう、あるいは、これまで以上に支援してもらう」にはどうすればいいのか、考えてみました。

1.参加者の個人情報の獲得
新規の参加者であれ、リピーター、あるいは既存の支援者であれ、参加者のデータは、関係性の構築に欠かせません。特にイベントで初めて団体と直接的な接点を持った人は、関係性構築の第一歩を踏み出してくれた貴重な「支援者-to-be (予備軍)」です。彼らの情報をきちんとデータベースに入力しておくことが、今後のコミュニケーションに必須となります。

ネット上でのイベント予約だと簡単に質問項目にチェックが入れられますから、氏名や所属や連絡先といった「必須入力項目」に加えて、(面倒くさく思われない範囲で)住所や電話番号、個人の属性、参加動機などを質問してもいいかもしれません。

事前申し込みではないイベント(最近は滅多にありませんが・・)では、会場でのアンケートが役立ちます。参加者の声を次に活かすためにもアンケートの回収は欠かせません。

なお、個人情報を得るには、法律上の個人情報取扱事業者でなくても、団体のサイト内にプライバシー・ポリシーを公開して、それを遵守する旨、情報の使用範囲を伝えることが信頼性の確保に欠かせないと思います。

2.イベント後のフォローを工程表にいれておく
イベントでは、告知、集客、そして当日の運営の大きな労力が割かれ、いわゆる工程表でも、イベント開催までの工程が詳細に練られていて、その開催日が工程表の「最終日」になっていたりします。それでは、「やっただけ」になってしまいがちです。参加者へのお礼や報告といった終了後のコミュニケーションが「次のステップ」を導きます。イベント開催の工程表には、フォローアップについてもきちんと予定を立てておきましょう。

具体的には、出席者へのお礼メール(翌日)、ボランティアへのお礼メール(翌日)、イベント報告のウェブへの掲載(1週間以内)スポンサーへは、お礼(簡単なお礼を翌日に)と、開催概要の報告をともなうお礼(2週間以内)を。さらに高額なスポンサーなら事務局長が訪問してお礼と報告をする・・・といった段取りをあらかじめ工程表に組み込んで決めておくということです。

余談ですが、私はお礼メールにイベントの「写真」をつけたりします。可能なら参加者の「集合写真」も。そうすると参加者が「昨日こんなイベントに・・・」とSNSで拡散してくれたりします。参加者が「仲間」になった嬉しい瞬間です。

3.会場内コミュニケーション
イベント運営は、特に当日はスタッフ全員が設営やら受付やらに忙殺されがちですが、参加者とのコミュニケーションも大切です。開始前や終了後に声をかけ名刺交換をする、バズセッションがあれば、スタッフも加わるといったことで、「顔の見える関係」が生まれます。とはいっても余裕がないのも現実です。こういうときにこそ、理事に協力してもらう、あるいは会場運営はできるだけボランティアに任せるということも必要でしょう。

また、イベント参加者に「参加感」を抱いてもらうことも関係性の構築にプラスになります。「お客様」ではなく「仲間」だと感じてもらえるように、発言のチャンスを用意するといった工夫も。冒頭、今日はどちらからいらっしゃいましたか?と地名ごとに手を挙げてもらうだけでも参加した気分が高まったりします。

もちろん、会員や寄付者が参加していて、「いつもありがとうございます」の一言が言えたら素晴らしいですね。そのためにも、事前に参加者名簿を用意して、データベースを活用して、スタッフ内で情報共有しておくこと必要となります。あらかじめ、会員や寄付者は前列の方に席を用意するといった「えこひいき」も感謝の念を表すとともに、団体との関係がステイタス感につながることを実感してもらえて良いでしょう。

4.イベント内で「すぐに支援ができる」機会を用意する
イベント会場には、「寄付受付」、「入会受付」、「会費納入(継続)」、「ボランティア受付」といった、今後、何か応援したいという気持ちをすぐに受け止められるコーナーを整えておく必要があります。

イベントでは、主催者の挨拶で「ご支援よろしくお願いいたします。」という台詞が必ず出てきますが、「どう支援すればいいの?」ということが示されていないと、参加者は何もせずに帰ることになります。団体案内やチラシで支援を訴えても、翌日になったら「面倒くさくなる」「忘れてしまう」ということにもなりがちです。

5.イベント報告
イベントでは、集客や協賛獲得などのために開催予告のウェブサイトを熱心につくりこみます。それと同じように、終了後には、いかにいいイベントが開催できたかを対外的に報告(アピール)することが大切です。自画自賛していいのですが、そこで忘れてはならないのが「謝意」。感謝の念がきちんと示されていたら、自画自賛が「おかげさまで・・・」に変わります。

参加しなかった人なら、「次回こそは・・」と思って、開催情報を得るためにメルマガ登録してくれるかもしれません。報告のページには次回の予告や、メルマガ登録画面も必要です。また、参加した人は、あらためていいイベントだったと満足して、「寄付の一つもしてみよう」と思ってくれるかもしれません。団体サイトではどこのページからも寄付のページにすぐ飛べるようにしておかないとなりませんね。スポンサーなら、また次回も応援したいと思ってくれるかもしれません。

イベントは可視化しやすいものですので、既存の支援者にとっても、「がんばって良い仕事をしている」という評価につながります。多くの人たちが熱心に集っている会場の写真を中心に簡単な報告文を掲載したら、十分にイベントの価値は伝わります。

たまに、イベント終了後に、イベント告知サイトの上部に「終了しました」の一行だけが掲載されていたりします。これは、とてももったいないことだと思います。