イベントアンケート作成5つの留意点

12月の寄付月間にちなんだイベントが全国各地で開催されました。こうしたイベントでは参加者にアンケート用紙が配られることが多々あります。NPOにとって、こうしたアンケートは、今後のイベント開催に役立つものであるとともに、活動に関心を抱いて参加してくれた人たちに関する情報の宝庫です。ただ、アンケート記入は面倒なもので、提出せずに帰ってしまう人も少なくありません。そこで、「提出してもらえる」、「あとで役立てられる」イベントアンケート作成の留意点を5つあげます。

1.設問数を少なくする
「あれもこれも聞いてみたい」というのが正直なところですが、書き込むことが負担に思われて提出してもらえなかったら元も子もありません。

簡単にさっと書いてもらえる程度、1−2分で書ける程度ということでは、設問数は3問程度と自由記載の「その他」。そして個人情報を記入してもらう・・・それくらいが適当かと思います。

必ず聞きたいことは、「満足度」と「どのルートでこのイベントを知ったか」。「満足度」については5段階評価で答えてもらいます。人は「極端なものを避けたがる」傾向があるので、3段階だと「ふつう」の真ん中に偏りがちです。それが5段階になると、「どちらかというとよかったなあ」と思う人は4をつけ、「そんなに悪くはなかったけど、ちょっと物足りない気がした」と思った人は2をつけるということで、満足した人とそうでない人が明確化されていきます。

ここで満足度の低かった人について、「何が不満だったのか」を知りたくなりますが、ここでは我慢!アンケートの最後に「その他、何かお気づきの点やご意見がありましたら」という自由記載項目を入れておけば、本当に具体的に何か不満を感じた人は、そこに書いてくれます。参加者すべてを100%満足させるというのは実際不可能です。それでも、「ここが不満」という意見を強く持たれたなら、そこに改善の余地があるのか振り返る必要があります。

また、「どのルートでこのイベントを知ったか」は、今後のイベントの告知方法だけでなく、団体が社会との接点を持つ際の入り口がどこにあるのかを知ることのできる貴重な情報ですので必須です。

他にも聞きたいことは多々あるでしょうが、答える側の身になって、この2つ以外には、1問ほど「選択型(○をつける)」で尋ねる程度で我慢しましょう。

2.とにかく名前とメールアドレス(住所と電話番号は無理強いしない)
メールは安価なコミュニケーション手段ですので、メールアドレスはぜひとも得たい情報です。手書きだとアルファベットが読み取りにくかったり、ハイフンとアンダーバーの区別がつきにくくなったりするので、字を大きく書いてもらうように欄の大きさを設定します。

昨今は、電話番号を紙に書いてもらおうとすると警戒心を持たれます。イベント申し込み時などにオンライン上で尋ねると、個人情報を割と抵抗感なく入力してもらえるのは、セキュリティが守られていると感じるからです。手書きで不特定多数の人の目に触れると思うと書きたくなくなるわけです。

住所欄も「よろしかったら、当会からのご案内などをお送りする場合のご住所をお知らせください」と書き添えて無理強いしない態度をとるとよいでしょう。メールなどを日常的に使わない高齢者などは、「住所」を連絡先として書いてくれる可能性が高いです。

3.筆記用具をつけて渡す
セミナーなどでは筆記用具を持参していても、コンサート、見学会、屋外活動などでは筆記用具を持たない人が多いと思われます。そういう場合はアンケート用に使い捨ての「クリップペンシル」を用紙につけて渡すのも一案です。一本10円足らずで買えるようです。名称未設定

人は 他人から何かをもらった場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くものです。これを心理学では報恩性の原理と言いますが、「鉛筆もらったから書かないと」と思ってもらえるでしょう。

4.個人情報の保護に配慮する旨を付記する
個人情報の保護は法的に定められていることで、「団体の信頼性」にも関わることです。アンケート用紙には個人情報の保護に配慮しているということを、必ず付記します。ただし、ここで無用な不安感を与えるのもよくないので、小さめの文字で記しておけば十分です。「気にする人が見て安心するため」という感じです。

5.裏面は白紙にしておく
イベントに大きな不満を抱いて、その理由を具体的に書いて匿名で提出するという人もいます。それはそれで貴重な意見です。ただ、そういう人でも、提出の際にスタッフに面と向かって出すのはためらわれたりします。また、書いたものが他人の目に触れるのを嫌がる人もいます。そのためには、回収箱に入れる際に二つ折りできる、あるいは伏せて提出する際に書いた内容が見えない「片面印刷」が良いでしょう。

そして、これらに留意したアンケート用紙を用意したら、回収への協力を伝えないとなりません。開会や閉会の際にアナウンスする、出口付近に「アンケートにご協力ください」と掲示する、セミナーなどなら閉会前にアンケート記入の時間を設ける、などの工夫をして回収率を高めたいものです。「どこに出したら良いのかわからない」というようなことにならないために、アンケート用紙に回収の方法を書き添えておくのも良いでしょう。

最後に、ご参考までにイベントアンケートのサンプルをご覧ください。A4サイズの用紙でこのくらいの文字の大きさだと、(私でも)老眼鏡無しでも書けます。(笑)
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