寄付集めの計画に必要な5つの要素

NPOの多くが4月に新年度を迎えるにあたって、来年度の「寄付集め」についても、その計画が練られていることと思います。そこで、「寄付集め」の計画に欠かせない5つの要素をまとめてみました。

1.寄付を集める目的
「寄付をする際に重視したこと」というアンケートへの回答のトップは「使い道が明らかで有効に使ってもらえること」です。(日本ファンドレイジング協会発行の「寄付白書2015」より)

ここで言う「使い道が明らか」いうのは、「・・の建設資金」というような使途を限定しているという意味ではなく(もちろん、寄付者が使途を指定して寄付する場合もありますが)、集めた寄付を団体がどういう活動に、どう使うのかが誠実に説明されているかいうことです。

そこで、「何のために集めるのか」を明文化しておかないとなりません。

そして、チラシやウェブサイト等で「私たちの活動を応援して下さい!」と寄付を募る時に、「皆様からのご寄付は”こういう”活動に使わせていただきます」ということを明記しておくということです。

さらに、「有効に使う」ことを示すには、過去の実績として「集まったxx円の寄付でxxができた」という報告を記載する、あるいは「xx円で何ができる」といった具体的な説明をすることも求められているでしょう。

「ご寄付をお願いします!」と依頼した時に「何のために?」と面と向かって聞き返す人は少ないです。多くの場合は「頼まれたけど、よくわからないから、寄付しない」ということになります。聞かれる前にきちんと説明しておかないとなりませんね。

2.目標金額
活動の中で自由に使える寄付は、多ければ多いほどいい・・と考えるのが正直なところですが、一定期間でいくら集めるのかを決めておかないと、寄付集めが順調なのかの検証もできません。金額設定しておけば、順調でない場合に早く気づくことができ、支援依頼の方法について軌道修正ができます。

また、通年で集めることに加えて、寄付集めの強化月間というものを予定して、その中での目標額を設定して集中的に寄付依頼することも必要だと思います。イベント開催やプロジェクトの進行に連動することで「使い道」や「有効性」をアピールすることもできます。また、昨年誕生した12月の「寄付月間」にあわせて、寄付の気運が高まる中で積極的にキャンペーン等を展開することもいいでしょう。

3.何人からいくら集めるか
以前、「3分間ファンドレイジング講座」でもドナーレンジチャートについて解説しました。http://fundraising-lab.jp/archives/461

寄付については「一口いくら」という設定が有効だという解説もいたしました。http://fundraising-lab.jp/archives/355

目標金額を設定したら、それを「何人から」集めるかを小口から大口まで想定してください。そうすることで、その金額規模に応じたコミュニケーションの方法をきめることができます。広く少額を集める時と、対象を絞って一定の規模の金額を募るのでは、集め方が違ってきます。前者ならメールやダイレクトメールでいいかもしれませんが、後者なら訪問して依頼するということも必要になるでしょう。

対象に応じた適切なコミュニケーションのために、「何人からいくら集めるか」という目標設定が必要になってきます。

4.新しいストーリー
寄付につながる共感を得るために、多くの団体が活動にまつわる感動的なストーリーや、活動への理解を促す写真などをウェブサイトやパンフレット等に記載していますが、いつも同じものでは、くり返し閲覧した人に新たに感動してもらえなくなります。

また、古い話や写真では、社会の変化の中で、「今、まさに、この活動のために寄付が必要だ」という訴求もできません。

新年度を迎えたら、共感を得るためのストーリーや写真などの素材も新しいものを用意したいものです。

5.責任者
寄付集めには団体のほぼ全員が何らかのカタチで関わっていくこととなります。広報、データベース等のIT、会計、さらには現場で活動するスタッフも報告のための資料を用意したり。事務局スタッフ以外でも、理事が支援者に手紙を書く、ボランティアが発送作業に協力するなど、まさに団体が一丸となって取組むことになります。そこで全体を統轄する人が必要になります。

スタッフ数の少ない団体なら、他の業務と兼務でもいいので、関連業務に滞りがないか、目標が達成できそうか等を定期的に状況を把握して団体内で共有する人がいることで計画倒れが避けられます。できれば、ファンドレイジングのノウハウをもち、マネジメントや内外とのコミュニケーションに長けたファンドレイザーがこの責任者になることが望まれますが、始めは進捗管理で手一杯だった「責任者」が、経験を積む中でファンドレイザーとして成長していくこともあるはずです。

新年度も、寄付集めを通じて、団体の取組む社会的課題に共感する人が増えて、ミッション達成の仲間が増えるようにがんばりたいですね。