「寄付白書2015」から知る日本の寄付市場

11月26日に「寄付白書2015」が発行されました。同書によると、日本の個人寄付市場は東日本大震災以降も約7,000億円規模を保ち、寄付者率も4割を維持。調査を開始した2009年から寄付市場の規模は拡大しています。同書には、拡大している日本の寄付の現状が網羅されているので、ご一読をおススメします。[amazonjs asin=”4907431058″ locale=”JP” title=”寄付白書2015″]

実は、私は寄付白書の創刊時から「寄付白書発行研究会」のメンバーとして同書の発行に関わってきましたが、今回の「寄付白書2015」には、これまでと全く違う点が3つあることをお伝えしたいと思います。

1)読みやすさ・使いやすさに重点を置いて、A4サイズの大判の表装にして、デザインレイアウトをリニューアル。項目ごとにその要点を太字で記載して、見開いた時に「左ページに解説文・右ページに関連データ図表」というシンプルなレイアウトで、より内容を把握しやすい形となった。

2)創刊から5冊目になる今号では、過去4年分の調査結果を総括的に記載している。また、シニア層の寄付、震災寄付、高額寄付者など、これまでの特集についてもそれらの概要を紹介している。

3)支援先となる団体を、いわゆる課題解決型市民活動(災害支援、国際協力、環境保全、子ども・青少年育成など)と、旧来型のコミュニティをベースにしているもの(共同募金会、日本赤十字社、自治会・町内会など)との2つのカテゴリーに分けて、寄付やボランティアに際する意識や行動に差があることを検証している。

「寄付白書2015」の帯に「日本の寄付市場の全貌がここに!」とありますように、この一冊で日本の寄付の現状、「いつ、どこで、誰が、いくら寄付しているのか」がわかるものとなっていますので、ぜひともご購入いただけたらと思いますが、先日の「発行記念イベント」でも公開された内容の一部をご紹介します。

・個人の寄付推計総額は7,409億円。寄付白書の最初の調査の2009年(寄付白書2010)では5,455億円だったことから、寄付市場が少しずつ拡大していることがわかる。

・15歳以上の個人の4割が寄付をしていて、寄付者率は年齢とともに上がり、70歳代では6割が寄付をしている。

・5万円以上の寄付をする人の半数近くが確定申告による寄付金控除を利用している。

・支援先となる団体を、いわゆる課題解決型市民活動(災害支援、国際協力、環境保全、子ども・青少年育成など)と旧来型のコミュニティをベースにしているもの(共同募金会、日本赤十字社、自治会・町内会など)と、の2つに分類した際に、その差が顕著に出ているのは、「寄付の動機」。課題解決型市民活動に寄付する人の動機のトップは「団体への共感」で、旧来型に寄付する人は「団体や人との関係性」がトップにきている。

・寄付とボランティア活動には相関関係がある。

また、最終章では、「寄付市場における5つの重要なポイント」として、下記の5点が解説されています。

1)寄付市場拡大のカギを握るシニア層の寄付

2)寄付市場を拡大させた震災寄付

3)主体的で積極的な高額寄付者

4)2009年から2012年までの寄付に関する政策・制度の変化

5)寄付教育と寄付関連用語の認知状況

最後に、この本をファンドレイジングの実践に活かすことについては、「3分間ファンドレイジング講座」内、「寄付白書の活用〜ファンドレイザーにとって〜」もご参照ください。http://fundraising-lab.jp/archives/823